本番がなくなっても、ご自身で次のステージへ。大人の生徒さんの前向きな一歩

ピアノを再開された大人の生徒さんとのレッスンの中で、印象に残った出来事がありました。

今回ご紹介するのは、2人のお子さんを育てながらレッスンを続けていらっしゃる生徒さんのお話です。

大人のピアノレッスン 演奏の様子

もともとは、教室のミニコンサートで一区切りをつける予定でした。
ところが今年は、地域の小学校の運動会と日程が重なってしまい、ミニコンサートは中止に。

「仕方ないですね」と落ち着いて受け止めていらっしゃいましたが、
その一方で、練習してきた曲をどこでどう締めくくるか、
少し迷っておられる様子もありました。

そして、そのまま終わらせなかったところが、とても素敵でした。


目次

ブログがきっかけで始まった、大人のピアノ再開

この生徒さんは、いわゆる「大人の再開組」です。

以前、私のブログで、大人の生徒さんがコンクールに参加された記事を読んでくださり、
「自分も何かチャレンジしてみたい」
そんな思いを持たれたことが、レッスンを始めるきっかけになりました。

大人になってからのピアノは、子どもの頃とはまた違う魅力があります。

ただ弾けるようになることだけでなく、
「この曲を弾いてみたい」
「もう一度音楽に向き合いたい」
「自分の時間の中に、ピアノのある暮らしを戻したい」
そんな思いが、自然に音につながっていきます。

今回の生徒さんも、ご自身のペースで、ていねいに音楽と向き合ってこられました。


本番がなくなっても、音楽は止まらない

本来なら、秋は教室のミニコンサートがひとつの目標になるはずでした。

人前で弾く日が決まっていると、練習にも張り合いが出ますし、
「ここまで仕上げよう」という区切りも見えやすくなります。

だからこそ、その機会がなくなったとき、
少し気持ちが宙に浮いてしまうこともあります。

けれどこの生徒さんは、そこで止まりませんでした。

「どこかでステージに立って、この曲に区切りをつけたい」

そう考え、ご自身で次の本番の場としてPTNAステップを選ばれたのです。

先生に言われたからではなく、
なんとなく流れで決まったのでもなく、
ご自身の中で納得できる形で、次の目標を選ばれたことが、本当に素晴らしいと思いました。


「先生の合格」ではなく、「自分で納得できる演奏」へ

子どものレッスンでは、先生から「よくできました」「合格です」
と言われることが、ひとつの節目になりやすいものです。

もちろんそれも大切です。
けれど大人のレッスンでは、もう一段深いところに向かう瞬間があります。

それは、
先生が良いと言ったから終わりではなく、
ご自身が納得できるところまで曲を育てていこうとする姿勢です。

今回の生徒さんには、まさにその姿がありました。

「ここで終わり」ではなく、
「もう少し自分で仕上げたい」
「せっかく弾いてきた曲だから、きちんと形にしたい」

そんな思いが、言葉の端々や練習の様子から伝わってきます。

私は、そういうレッスンの時間がとても好きです。

音楽が“習いごと”を超えて、その方自身の中にしっかり根づいていく感じがするからです。


セオリーも始めて、「ただ弾く」から「考えて弾く」へ

最近は、演奏だけでなくセオリーにも取り組み始められました。

グランドピアノの譜面台に置かれているセオリーのテキスト

これもまた、とても良い変化だと感じています。

ピアノは、ただ音を並べるだけでも楽しいものです。
でも、音の流れや和声、フレーズのつながりを少しずつ理解していくと、
演奏はさらに深まっていきます。

「なぜここでこの音になるのか」
「どこへ向かっているフレーズなのか」
「どう弾くと音楽が自然に流れるのか」

そうしたことを考えながら弾くようになると、同じ曲でも聴こえ方が変わってきます。

今回の生徒さんも、少しずつ
“ただ弾くだけ”から、“考えて弾く”方向へ進まれています。

本番に向けて練習することと、音楽の理解を深めること。
この2つが合わさることで、演奏により説得力が出てくるはずです。


大人のレッスンは、その方の歩幅で進められる

大人の生徒さんのレッスンをしていると、いつも感じることがあります。

それは、
大人の学びには、その方ならではの歩幅があるということです。

お仕事や家事、子育ての合間に時間をつくり、
その中で少しずつ練習を重ねていく。

思うように進まない日もあるかもしれません。
それでも音楽を手放さず、また鍵盤に向かう。

その積み重ねは、とても豊かで、力強いものです。

グランドピアノと楽譜

今回の生徒さんも、忙しい毎日の中で、ご自身の意思で次のステージを見つけられました。

それは決して特別な人だけのことではなく、
「もう一度弾いてみたい」
「せっかくなら目標を持って続けたい」
と思っている方にとって、大きな励みになるのではないかと思います。


音楽は、次の一歩につながっていく

本番がなくなったことで終わるのではなく、
そこからご自身で次のステージを選び取られた今回の出来事。

この姿に、私自身もたくさんのことを教えていただきました。

音楽は、誰かに与えられるだけのものではなく、
自分で育てていくものでもあります。

区切りをつけたいと思う気持ち。
もう一歩先へ進んでみようと思う気持ち。
少しずつ理解を深めながら、より豊かに弾いてみたいと思う気持ち。

そのひとつひとつが、音楽を続ける力になっていくのだと思います。

これからのPTNAステップに向けて、どんなふうに曲が育っていくのか、私もとても楽しみです。

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この記事を書いた人

頓所 裕子のアバター 頓所 裕子 Allemandeミュージック 主宰

埼玉県飯能市山手町にあるピアノ・バイオリンの音楽教室
Allemande(あるまんど)ミュージック 主宰

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